BOOK・56「カオスな世界で生き残っていくには、常識やマジメではない発想が重要になる『京大的アホがなぜ必要か』」

 1年が経過するのは早いもので、ほんの少し前に新年を迎えたと思っていましたが、もう4月です。街のあちこちにもサクラの花が目立ち始めました。今年は開花が1週間、早まったようですが、年々、早まるのは温暖化の影響でしょうか。コンピューター技術の進化にともない天気予報の当たる確率も年々、精度が高まってきているようですが、先週は暖かくなったかと思うと、冬に戻ったと感じる程に寒い日がありました。

 気温や気候の変化が激しい日はもっともですが、天野は毎日の天気予報のチェックは欠かせません。朝が早く夜が遅いことから、昼は春の気温でも朝や夜は冬の気温に下がってしまいます。また外では寒くても仕事中は身体を動かし続けることから、体感温度が気温とは相当に高くなります。

   ハードな毎日だからこそ健康に配慮して体調だけは崩したくないという気持ちが強いからですが、暑いか寒いか、晴れか雨かなど、天気予報が重要な体調管理の基本になります。何よりも天気によって仕事中の服装も、さまざまに変えなければいけないからです。
 
 気象の数値予報には、大気などの変動を表す流体力学や熱力学の方程式を使いますが、今回に紹介する「京大的アホがなぜ必要か~カオスな世界の生存戦略」(集英社新書)の著者である酒井敏京都大学大学院人間・環境学研究科教授の専門は地球流体力学で、「京大変人講座」を開講している名物教授です。

  この本について著者は一般読者を想定して書かれたものですが、特に政治家、経営者の方へ、大学人のみなさんへ、学生諸君へと特に三者にメッセージが宛てられてもいます。

 


 
 タイトルに使われている「アホ」は「常識」や「マジメ」に対する概念であることも付記しておきます。「自由な学風」のなかで、おもろい「アホ」を推奨する、そんな京大は「変」な人間が「変」なまま「変人」でいられたのに、そのような京大の文化が最近は薄れつつあることに危機感を抱き同書を書いたとも述べています。
 
 冒頭で書いた流体力学なども使われる天気予報ついては、自然界は予測不能であり、こと地震などの自然災害はいつ発生するか予想することはできないと結論しています。つまり、私たちが生きている自然界は、先のことが予測できない不確実な世界で、どんなにコンピューターが発達しても、人間の計算通りにはなりません。
 
 「バラフライ効果」という言葉がありますが、これは「ブラジルで一匹の蝶が羽ばたくと、テキサスで竜巻が起こる」、それくらいに小さな要素が気象に影響を与えるとしたら、正確な予報は不可能になるというわけです。

 自然界はこのような「カオス」の中にあり、例えば高速道路が便利で効率的だとしても、渋滞が発生したり交通事故が発生したりする、その点で下の一般道路を走っていた効率の悪い「アホ」が、無駄を走りながらも事故にも渋滞にもあわず、ましてや新しい道を見つけ出す可能性があるというのです。
 
いろいろなことをやってみて選択する
 また「選択と集中」について、著者は「バブル経済の崩壊以降、日本社会で推進されてきた『選択と集中』について」と書いていますが、これは主に企業社会が勝ち残り戦略として推進してきたものです。無駄を省き重要なものだけに集中して効率化を図るという事業展開の一つです。
 
 ただ、この手法は生物進化とは相容れず、想定外の脅威が出現した瞬間に、計画が根底から崩壊。では想定外の変化に備えるにはどうすればいいのか。未来のことは分からないと割り切って、効率や短期的な合理性を気にせず、いろいろなことをやってみる。そのなかで、うまくいきそうなものを、「ゆるく」選択する。それが「生物学的」なスタイルだと断言しています。
 
 今の常識で「役に立たない」「将来性がない」ように思えるからといって切り捨てるのではなく、手広くやっておくのが、カオス的な世界における生物の生き残り戦略だと書いています。新しい価値を生むには、どんどん無駄をしたほうがよい。それができるのは効率を重んじる多数派ではなく、失敗を恐れない少数派だといいます。
 そして最後にトーマス・エジソンの名言でこう締めくくっています。
 「それは失敗じゃない。その方法ではうまくいかないことを発見したんだ。だから成功なんだよ」

TSUTAYA DISCAS/TSUTAYA TV

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