BOOK(Manga).59「震災国に生きる日本人は忘れてはいけない。戦争漫画『ペリリュー 楽園のゲルニカ(6)』」が描く戦争という恐怖体験」

     4月11日、アフリカのスーダンでクーデターが勃発し、軍を率いるイブンオウフ国防相が、バシル大統領を解任したとのニュースがメディアで流されました。

   首都ハルツームでは、デモ隊の一部が軍政に反対を示しており、情勢不安定化の恐れがあると報道されています。

   この国ではク―データーが続いており、バシル氏も前政権をク―データーで倒し大統領に就任しました。変わらないのは依然として軍政が敷かれているという事実です。

   2003年以降、非アラブ系とアラブ系の住民対立を契機に紛争が勃発し、これまで30万人以上が死亡しています。

   また、リビアでは東側の武装勢力が、西側の暫定政権と交戦、加えてサウジアラビアとトルコの石油利権争いも激化しています。

   遠い国の出来事ですが、このように世界各国では依然として、シリアやアフガニスタン同様に戦争の火種がくすぶっており、不安定な状況が続いている国が多いのです。

 一方、先進国の米国では一人の人物の発砲する銃撃に、多くの罪のない人々が殺害される事件が後を絶ちません。

   日本は災害がなければ平和な国ではありますが、地震は多く大きな災害が発生すれば、戦時下と変わらない状況になることは8年前の東日本大震災で嫌というほど見せつけられました。   

  我々はいつ、戦時下で生活しなければいけなくなるか分からないのです。

   日本もかつては世界の中で武力を行使した戦争をしていたことは忘れてはならないのです。

   漫画「ペリリュー 楽園のゲルニカ」(武田一義著、白泉社)は、太平洋戦争中に日本軍がペリリュー島(現在のパラオ共和国)で行った米軍との戦争を描いています。

  「ペリリュー戦」については書籍や映画化されたものが多いですが、漫画化は初めてではないかと思います。しかも漫画が、いわゆる戦争漫画をイメージさせる劇画タッチではありません。
 
 登場人物たちが、どこかのキャラクター商品として投入されるような愛くるしいタッチで描かれています。ですから、女性も読みやすい漫画ではないでしょうか。

   しかし、戦争の悲惨な実態はしっかりと描かれています。戦争をよりリアルに知ることができるのです。
 
 最新刊の6巻では日本軍の島田少尉と泉二等兵の交流が描かれて、泉二等兵は米軍に追いやられる中で少尉の顔を思い浮かべ、「困ったことがあったら相談に来い」と言われたことを思い出します。

 無残にも泉二等兵は米兵に虐殺され、口を引き裂かれ金歯を抜かれます。彼は口紅を戦争中に見つけ自分の唇に塗るほど繊細で女性らしい兵士でした。

 戦争中には人が人を食べたという事実や、 通常なら目をそむけるような惨状を漫画は、あくまで読者が目をそむけないよう、各登場人物を親しみやすいタッチで描き分かりやすく仕上げています。

「狂っているんだよ、敵も味方も、みんな」

 米軍兵士が厩舎で休みながら、ふと吐いた言葉に戦争の恐怖が浮かび上がります。

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