路上記9「サードマンの存在を確信した時、新しい自分を発見する」

 登山中に遭難しかけた登山家が、自分以外の誰か、守護天使のような存在に導かれ気が付いたら救出されていたという話があります。「サードマン 奇跡の生還へ導く人」(ジョン・ガイガー著 新潮文庫)にはこれらの事例がレポートされています。
 登山家だけでなく、同じような体験をした人は他にも多く、最近では昨年10月2日にNHKスペシャルで放送された「神の領域を走る~パタゴニア極限レース141㎞~」で、「サードマン」現象と同じような状況に遭遇したトレイルランナー鏑木毅選手の様子が放送されました。
 
 鏑木選手は日本を代表するトレイルランナーで、パタゴニアのレースでは後半に疲労がピークに達し走ることが限界に近づいてきました。そんな時、鏑木さんは妻か家族のような存在が自分の傍らに現れ、励まし応援し始めるという感覚を得たのです。以降、急速に鏑木さんの体力は回復し、再びレースを無事に走行し2位でゴールしました。
 自分にも同じような経験が何度かあります。16年ほど前になりますが、その時期は何か仕事もマンネリ化し自分が何をやってもうまくいかないような感覚に陥っていました。正月明けに気分転換に実家近くの標高600メートルほどの山にジョギングに出かけた時のことです。
 頂上付近に到着した時、ふと自分の目の前に真っ白の狼が現れたのです。狼はしばらく道の中央で自分を眺めていましたが、再び白銀の道を先に歩き始めました。その瞬間、自分は空を舞い、やがて自分の目の前に女神のような存在が現れたのです。そして、「あなたは今のままでいいの。私がついているから安心して今の生活を続けなさい」と言いました。その瞬間、自分の気持ちは楽になり、精神的な落ち込みから脱出することができたのです。
 我々の脳は側頭部のシルヴィゥス溝が何らかの刺激を受けると、神秘体験や日常の感覚では見ることのない映像を見ることがあるといわれています。メカニズムは解明されていませんが、人間には本来、そのような未知の能力が備わっているらしいのです。
「サードマン」現象は人間が危機的な状況に陥った時に経験することが多いといわれます。この経験は普段生活して実感している直線と立体の世界で感じる不安定な状態だけでなく、実は我々は多次元に渡って存在しており、安堵な世界にも存在していることを実感します。
 3次元の空間はあまりにも危機的で不安定な要素が多いですが、多次元の感覚から俯瞰してみる時、そこでの経験はあまりにも重要な意味を持ち、その体験が神秘な世界にも変貌するのです。

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