路上記17 「なぜか、井上陽水」

  6月からテレビで、おもしろいコマーシャルが放送されています。飲料メーカーのCMです。
この軽やかなリズム音楽に乗せて唄うキーの高い男性の声をバックに、若い女の子がダンスを踊りながら移動する映像を見た人は多いと思います。放送中に流れてくるキーの高い声を聴いたことがある人も多い筈です。飛びながら踊る女の子のバックで歌を唄っているのは井上陽水さんで、曲は新曲「care」です。
 最近は毎週土曜日に放送中のNHKの「ブラタモリ」で、この声が流れていました。歌詞は著作権の都合上、いろいろ面倒なので書きませんが、「ブラタモリ」でテレビの主題歌なのに、テレビなんか見ていないで外に行こうというようなことを唄う「女神」という曲。この曲を唄っているのも井上陽水さんですね。昨年にはドラマで「夢の中へ」が主題歌となり、この曲をリマスター盤としたCDも発売されました。
  実はこのプロローグは、井上陽水さんについて書こうと思った時に、ふと近況を振り返ると、えー?やっぱり、こんなに活躍している、ということになったのです。で、来年はデビュー50周年記念らしいです。何か陽水さんの宣伝ばかりしていますが。肉体労働者の天野は決して、そんなんじゃなくて。ということになります。つい最近にリマスター盤「夢の中へ」のCDを購入したのは、仕事が辛い時にふと浮かんだフレーズが、この曲だったのです。なぜか、4月から早朝5時過ぎに井上陽水さんの曲をほとんど全部、何年ぶりかに聴き始めていました。
 確か「結詞」という曲がきっかけだったと思います。早朝の空と、自分の身体のだるさと元気と、食後の何となくぼんやりしていた時間帯だったと思います。歌詞は書きませんが、CMにも起用されたこの「結詞」を口ずさんでいるうちに、気分が楽になったのです。高校時代に聞いたこの曲の偉大さを再認識したのです。そして、やはり陽水さんはただものではないことを確認させられたのです。
 この曲は1976年に発売された「招待状のないショー」のCD(当時はアルバム)の中に収録されています。以降に鉄道会社のCMで起用されたこともあり、耳にしたことがある人も多いと思います。そういえば「チェちゃん」も、この現実だけの世界にいる人の曲ではなかったなあ、と天野の記憶は記憶をたどり始めました。
  「チェちゃん」を収録している「氷の世界」は、おそらく誰もが知っているであろうミリオンセラーとなったアルバムです。実はこのアルバムを、天野は中学生の頃に戒厳下の国で聴いていました。その年は当時の人気映画俳優であったブルースリーが突然に若干37歳で他界し、日本国内では他国でのちに大統領となる人物の拉致事件が発生しました。重鎮の日本での謎の拉致事件は天野の日常生活にも影響を及ぼしたことから記憶にあるのです。
  幼い頃にインプットされたことは一生を通じて影響を与えるということを言いますが、陽水さんのこともそうなんでしょうか。そういえば、初めてまだ幼い兄貴と二人で、南の港まで長距離バスで下り、港から船で陽水さんの故郷に近い港にたどり着いたこともありました。あの頃は偶然にも「闇夜の国から」をよく聴いていました。そして深夜に聞こえる日本語放送は陽水さんの、故郷近くのラジオ局からでした。陽水さんのお父さんやお母さんが一時期に、自分が戒厳令を経験するこの地にいたことも感慨深いですね。たぶん、天野はこの時期に地で、この世で生きることの基本を学んだのだと思います。「氷の世界」は何度も何度も聴きました。結局、このCDは3年前に発売されたライブを含めると4枚、購入したことになります。
  「氷の世界」は1973年に発売され、ミリオンセラーとなりました。それはある種、日本がオイルショックの影響で経済危機に陥った状況を捉え、人々を励ましていたのかも知れません。「氷の世界」は今もライブで曲が唄われていますが、今も全く違和感がありません。「氷の世界」という現実は今も変わらないからです。
  でも陽水さんは以降、メッセージ性の強い曲からCD「二色の独楽」「エブリナイト」「スニーカーダンサー」~「カシス」「九段」「LOVE COMPLEX」「魔力」の挿入曲や、最近のシングルを聴いても分かるように分かるように、人を楽しく幸せにする曲を増やしています。社会の不条理も、人の恋愛の冥利も、夢も不安も死後も、そして人を元気にする、楽しくする、そんな陽水さんが唄う音楽を実際に聴きたい。ライブには、死ぬまでに必ず行きたいですね。(タイトルは陽水さんの「なぜか、上海」をヒントにしました)

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