路上記35「より身近になった永遠のヒーロー・ウルトラマンの正体を探る」

 ビルの一室にある仕事場に小さな扇風機があります。この扇風機は夏場に大活躍するのですが中央部にはあるキャラクターマークが付いています。よく見ると「ウルトラマン」なのです。ウルトラマンはこんな所でも活躍していました。夏場には、扇風機を回すと今にも飛び出してきそうな「ウルトラマン」が暑さを吹き飛ばしてくれました。おそらく、この「ウルトラマン」を知らない人は殆どいないのではないでしょうか。
 
 「ウルトラマン」は1966年からテレビで放送を開始されて以降、現在まで延々と続いている作品です。今年の7月からはテレビ東京系で「ウルトラマンR/B(ルーブ)」が全国で放送されています。次々に現れる怪獣や難事件に取り組むという設定は変わりませんが、「ウルトラマン」に変身する2人の兄弟が主人公として設定されており、ホームコメディーなども交えた新しいウルトラマンシリーズとして放送しています。
 
 また、2011年からは漫画「ULTRAMAN」(原作・清水栄一、作画・下口智裕著、小学館クリエイティブ)も漫画雑誌「ヒーローズ」で連載がスタート、現在はコミックス12巻まで発売されていて累計240万部を発行しています。来春にはアニメ映画化もされるそうです。こちらは劇画タッチで描かれる新しいものです。従来からの「ウルトラマン」シリーズが宇宙人として設定されているのに対し、「ULTRAMAN」は戦士として描かれ、元ウルトラマンだった早田進の息子である進次郎が、科学特捜隊からウルトラスーツを与えられ異星人の敵と闘います。
 
 とにかく、描かれる「ULTRAMAN」がかっこいいので天野のような大人が読んでいても、わくわくする漫画ですね。題材もアイドルを巻き込んだ連続殺人事件などを扱ったりしています。身近で現実に発生しそうな事件なので読んでいくうちに、思わずのめり込んでしまいます。初代「ウルトラマン」を5歳の頃から見ていた世代ですので、コミックスの方も現在のテレビ「ウルトラマンR/B(ルーブ)」同様に、「ウルトラマン」がより生活者に近づいている感じがします。
 
 さて、設定のコンセプトなども含めさまざまなにリニューアルされながらも、なぜ「ウルトラマン」は、長く人気を得ているのでしょうか。「ウルトラマン」は金城哲夫さんが作者です。金城さんは沖縄の出身で幼い頃に東京に上京し大学を卒業後に、円谷プロダクションに入社しシナリオ作家として活躍、初期のウルトラシリーズを手がけてきました。
 
 この「ウルトラマン」は、金城さんが育った沖縄という環境から生み出されたといっても過言ではありません。「怪獣使いと少年」(切通理作著、洋泉社)には金城さんと「ウルトラマン」の関係について詳しく書かれています。金城さんは幼い頃に一家全員が沖縄戦を経験しました。母親は爆撃で片脚を失い、妹はアメリカ軍の収容所から出て数ヶ月後に飢えのあまり、いたんだ食べ物を口にして死亡しました。
 初期の「ウルトラマン」を集約すると、「『ウルトラマン』=科学の神、アメリカ帝国主義、『怪獣』=公害、核の被害者、マイノリティ(アイヌ人、沖縄人)、『怪獣の破壊』=東京大空襲、原爆、沖縄戦など」となるのも、金城さんの個人的な経験が反映されていると考えられます。
 
 そして主人公の「ウルトラマン」は地球から300万光年離れた、戦争を克服した「光の国」からやってきました。この「ウルトラマン」の原型は、金城さんが円谷プロダクションで最初のテレビシリーズとして企画した番組の主人公「WOO」です。「WOO」は宇宙からきた知的生物で自在に宇宙を移動し、手からは光線を発射し、人間にも乗り移ることができました。
 また、沖縄には最近までアミニズムが残っており、ユタ、ノロという巫女がいました。巫女は精霊の代弁者となり、戦士は狼や鷲の精霊を我が身に宿らせて戦に出ました。まさに「ウルトラマン」となる早田隊員なのです。

ウルトラマン3

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