BOOK・49「辛いことや怖いこと、嫌なことがあっても生きていける。絵本から学ぶ非現実と現実の世界」

 先日、久しぶりに空を飛んだ夢を見て、その話を「路上記」に書きました(路上記Ⅱ・43「鳥のように空を飛び、空を実感するということ」)。平日は睡眠時間もそれほど多くはなく(とはいえ身体を壊しては意味がないので、最低ラインは確保していますが)、平日は帰宅して寝て、すぐに起床するという生活の繰り返しですので、夢を見る機会はほとんどありません。     

 それだけ意識が肉体に集中しているのだと思います。とにかく、平日の仕事は考えている暇がない、次々に瞬時に身体を動かしていかなければいけません。考えている暇があれば、身体を止め、少しでも仮眠をとることになります。ですから夢を見て、しかも自分が空を飛んでいるとなると、これは感動した・・・としか表現の仕様ありません(土曜日の深夜、つまり日曜日はリラックスしているのでしょうね。もちろん、夢を見るのは十分な睡眠をとっている時とは限りませんが)。

 夢がもう一つの現実を示すということで、印象的な出来事を描いたものとして記憶に残っている絵本に「ハナミズキのみち」(淺沼ミキ子・文、黒井健・絵、金の星社)があります。著者の淺沼ミキ子さんは2011年3月の東日本大震災で被災し、25歳だった息子の健さんを亡くします。

 健さんは地震発生時に、地元・陸前高田市で消防団員として働いていました。震災が発生した時、ミキ子さんは逃げながら途中で健さんに会いますが、住民を避難させるために働いていた健さんは、母親とは一緒に逃げないで仕事を続け津波にのまれ他界してしまいます。

 ミキ子さんは若干、25歳の息子が津波が原因でこの世から去ってしまったという現実を受け入れられずに、夜に寝るために床に就いても悲しみから呼吸困難になり眠れない日が続きました。
 しかし、そんなある日、健さんが夢に現れ「いつまでも悲しまないで、楽しかった日のことを思い出してほしい」「津波がおきても住民の人が逃げられるように、道しるべとしてハナミズキの木を植えてほしい」と話したといいます。
 息子から励まされたミキ子さんは、この日から再び生きることを決心しました。ミキ子さんは夢に現れた健さんが、現実世界とは次元の違う空間で生きていると実感したのだと思います。こうして絵本はミキ子さんの夢の体験から作られました。

 絵本にはこのように、現実だけの世界だけでなく、一見、空想と思われるような非現実の世界を描き、人に生きる勇気や気づき、人間にとって本当に大切なことを伝える多くの作品があります。
 最近、日本で人気のある絵本作家はヨシタケシンスケさんです。テレビ番組でも特集されるなど話題の人物ですね。ヨシタケさんは日常生活からヒントを得るものも多いそうですが「おしっこちょっぴりもれたろう」(PHP研究所)は、主人公がおしっこをした後にパンツに少し残してしまう話です。絵本には高齢のおじいさんも経験していることが描かれており、誰もが経験する話をコミカルに描いています。

 また、「このあと どうしちゃおう」(ブロンズ社)では、おじいちゃんが死んだらどうなるのか天国と地獄の話が描かれています。天国では楽しいことが沢山あり、地獄では嫌で辛いことが多いことが分かりやすく描かれています。死後の世界を楽しく知ることで、生きることの大切さを知ることができる本です。

 絵本は漫画よりもストーリーは短く、絵は大きく描かれるので非常に読みやすいですね。親が子供に読み聞かせながら、読んでいる親が気づかされるという話はよく聞きますが、社会に出た大人が忘れていることや、忘れかけていることを思い出させてくれるのも絵本です。

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