BOOK・50「マシンと人が融合し開発されたロボットが、寝たきりの患者を救う時代になった。『サイボーグ時代』吉藤オリィさんの人生戦略」

 本当にスマホやケータイを見ている人は多いですが、どこでもスマホに釘付けになっているのは、楽しみだけでなく問題や疑問に瞬時に応えてくれるからです。このようにスマホですぐに自分の知りたい情報を検索できるようになったのはAI(人口知能、以下AI)の功績によります。自動車もAIにより自動運転化されるなど、私たちの生活環境は大きく変化しつつあります。

 映画ではAIロボットをテーマにしたものも多く「A.I.」「アンドリューNDR114」「エクスマキナ」などが公開されてきました。最新作ではサイボーグのロボットが登場する「アニータ.バトル.エンジェル」も注目されています。これらの映画では、ますます人間に近くなってきたロボットと人間がいかに、よりよい関係を維持できるかがテーマになっています。

 AIが開発されロボットは、より進化し続けています。身近な生活ではソニーの「aibo」が売れたり、老人ホームでの活用や東日本大震災で大きな被害を出した福島原発の処理作業でも産業用ロボットが注目され、人が活動できない分野での活躍などで、一般の人の目に触れる機会も増えています。

 「サイボーグ時代~リアルとネットが融合する世界でやりたいことを実現する人生の戦略~」(吉藤オリィ著、きずな出版)は、「OriHime(オリヒメ)」という片手で持てる遠隔操作型ロボットを開発した著者が、人生を生きていう上で何が重要になるか戦略を書いています。

 著者名の「オリィ」もロボットの「OriHime(オリヒメ、以下OriHime)」も藤吉さんの趣味である折紙作りから由来しています。藤吉さんは幼い頃から折紙が好きで、今も人に会った時などはポケットにしまい込んである紙で折り紙のバラを作り渡したりしているそうです。

 「OriHime」はAI(人口知能)ロボットではありません。スマートフォンやパソコンで操作でき、人間の分身となる遠隔操作ロボットです。病院や自宅から出られない人が、このロボットを操作することで、通学や出社が可能になり、内臓されたカメラで周囲の様子を見られて、マイクやスピーカーで、ほかの人と会話することもできます。

 藤吉さんの親友である番田雄太さんは4歳の時に交通事故で脊髄を損傷し、以降は20年間、岩手県盛岡市内の病院で呼吸器をつけて寝たきりの生活を送っていました。しかし、「OriHime」の誕生以後は、あごでペンマウスを動かしパソコンを操作し、このロボットを使って藤吉さんと共に働き続けました。重度障害で身体が動かせなくても、「OriHime」を使って、周囲とコミュニケーションがとれ、文章やメールが打てれば仕事はできるのです。

 「人間の孤独を解消することをミッション」としている藤吉さんは、このロボットを開発し、オリィ研究所を設立、現在は所長として運営しています。米国の経済誌「Forbes」の「アジアを代表する青年30名」にも選ばれました。

 もちろん「OriHime」だけではありません。「視線入力車椅子」は、車椅子に視線入力車椅子装置をつけて、視線の動きだけで車椅子を動かせます。友人のALS患者の「発話もできて、前に進みたい」という要望に応え開発したものです。

 なぜ、このようなロボットを開発し続けるのか。藤吉さんは以下に述べています。「人は高齢化や病気、ケガなどで、いままで『できた』ことができなくなっていくとき、絶望に近い悲しみや将来への不安を覚える。しかし、『できない』と思っていたことが『できる』に変わった瞬間、将来に対して希望を持つことができる」

 そして、自分の能力や意識を時代に合わせアップデートさせながら、得意なことに専念しやりたいことを実現する。他者の経験や知識を取り入れて自分の能力の一部と化し、できることを増やし「サイボーグ的」に生きることが重要だと述べています。

ロボット

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA