Book66.「この世界は残酷。それでも就活、転職、起業・・・働くことの本質、自分の人生を選べる。森岡毅『苦しかったときの話をしようか』」

 

GWはテーマパークが大混雑 
 5月10日と11日は最高気温が28~29度となり夏日を記録しましたが、暑さだけでなくこの週は10連休明けの影響か、行きかう人々の表情にも冴えない、何となく疲労しているような人が目立ちました。そういえば、この週には天野の歩く付近で2件も救急車で運搬される人がいました。休み明けと急な気温の変化で体調を崩す人は多かったかも知れません。

 連休といえば家族サービス、中でも混雑したのは東京のTDL(東京ディズニーランド)や大阪のUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)に代表されるテーマパークですね。この2件ではアトラクションが混雑時は2時間待ちの状況だったと聞きました。知り合いにも沖縄から兄妹が状況してディズニーランドに連れていき、2時間待ちの状況が続き疲れたという人がいました。本当に家族サービスは大変ですね。
 
 しかし、テーマパークやレジャーランド運営者はこの時期に収益を上げなられなければ、企業として存続していけません。例えば、現在は好調に推移しているUSJですが、開業時の2001年度に1100万人を記録した来場者数は、翌年に730万人となり04年には事実上の経営破綻をします。翌年には新社長が就任しましたが、来場者数は大幅には増えず09年度には再び730万人に減少してしまいます。この窮地を救ったのが、10年に同社に入社しマーケティング部に属していた森岡毅さんです。
 
窮地のUSJをV字回復させたマーケター
 USJの来場者が減少していった理由を森岡さんは検証し、客層の幅の狭さ、「映画の専門店」から「世界最高のエンターテインメントを集めたセレクトショップ」への脱皮、最大の弱点である「低年齢層の子供連れ家族の集客」を強みに変えるため、ファミリーエリアを投入するなどいくつかの改善策を掲げ実施していきます。
 
 やがて、同テーマパークの来場数は2014年度に1270万人、2016年は1460万人と上昇しました(2017年以降は非公開)。どうUSJをV字回復させたのか「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方~成功を引き寄せるマーケティング入門」(KADOKAWA)には、その過程が詳細に綴られています。
 
 

 森岡毅さんは神戸大学を卒業後にP&Gに入社、北米勤務などを経てUSJに入社、17年に退社後はマーケティングの精鋭集団「刀」を設立し、「マーケティングで日本を元気に」を大義に数多くのプロジェクトを推進し精力的に活動しています。
 

 4人の子供の父親でもある森岡さんは、ことあるごとに子供たちに向けた、生きる上で大切なことを書いてきました。
 そのメッセージを元に編集者の勧めで完成したのが、就活や転職、起業など働く人たちの悩み解決に役立つ「苦しかったときの話をしようか~ビジネスマンの父が我が子のために書きためた『働くことの本質』」(ダイヤモンド社)です。どんなに凄い人でもそうですが、森岡さん自身も窮地に追い込まれた体験があるのです。これらの仕事を通して経験した困難や成功に導く戦略、強く生きるためのメッセージなどがまとめられています。
 
 まず、私たちが生きる資本主義社会については、人間の欲をエネルギー源にして、人々を競争させることで社会を発展させる構造を持つ。欲を人質にして人々を競争させることで、人々に怠惰や停滞を許さず、生き残るために常に進歩と努力を強いていく構造になっている。この世界は残酷だ。しかし、それでも君は確かに、自分で選ぶことができる・・・と厳しい世界でも自分自身で人生を選択できることを主張しています。
 
不安なのも痛いのも生きている証拠、挑戦することを恐れてはならない
 タイトルにもなっている「苦しかったときの話をしようか」ではP&Gでの苦労した業務遂行や北米勤務で「自分を無価値だとまでいわれた」時の体験が綴られています。ある日、森岡さんはウォルマートに商談に出かけましたが、慣れない英語でプレゼンの悪評判が立ってしまい、会社側から「お荷物扱い」されてしまうのです。
 
 やがて、ハードワークとストレスから「会社には行きたくない」と思う日が続き、血尿まで出始めてしまいます。しかし、それでも森岡さんはめげずに奮闘し、自分なりに戦略を立てなおし再プレゼンを強行し顧客を納得させ、米国でも昇進するのです。苦労が多いだけ自分を成長させる。そこではあくまで自分の強みを知り闘うことが大切だと断言しています。
 
 そして、多くの人にも共通すると思われることにも以下に言及しています。人には自己保存本能の恐怖心があり、それがブレーキになってしまうということです。

    これについては「失敗しない人生そのものが大失敗ではないのか。大丈夫だ、人は何をしていても、何もしなくても、どうせいつかは死ぬ。どうせ死ぬのだから何かに挑戦することを怖がることなんてない。(中略)痛いのも不安なのも、生きている証拠だ」と明言しています。