Book67.「戦中、戦後の混乱を生き抜いてきた女性達の意思を受け継ぎ、ホステスとして働く女性の姿を描いた手塚治虫文化賞大賞『その女、ジルバ』」

元気に働く高齢者から得るもの
 天野の職場は、都心の現場は若い人も多いですが、都心から離れた地元の職場では、比較的に年齢層が高い人が働いています。

   高齢化社会が拡大する中では、70歳になっても仕事を継続する人は増加傾向にありますが、天野自身、正直に言いますと当初は何かととまどった職場でしたが、最近は慣れてきました。70歳になっても元気で働けるというのは、ある意味では幸せなのかも知れません。
 
 高齢者は若い人に比べ身体的には強くはありませんが、経験が豊富ですから、そのような意味では、まだまだ自分などはひょっこだと感じることが多々あります。ここ数年で会った人の中では82歳まで現役で清掃作業をしていた人がいました。
 
 この人は2年程前に引退しましたが、とにかく、よく身体が動く人でした。元々、野球をやっていたということもありましたが、天野と一緒に仕事をしていた頃は1日も休むことがありませんでした。何があっても朝一番の仕事だけは休みませんでした。
 
 清掃の仕事はそれまで勤務していた製造会社を定年で退社してから始めたようですが、決して身体は大きくないのに、そのバイタリティーには見習うものがありました。
 自分の両親はもちろんですが、仕事で出会った年配の人から聞いた話が、その人の生活の中にいつまでも息づいてくることがあります。
 

手塚治虫文化賞大賞はリストラ女性が主人公

 このほど第23回「手塚治虫文化賞大賞」に決まった「その女、ジルバ」(有間しのぶ著、小学館)は、40歳のリストラで職場を追われ、人生を諦めかけた女性の笛吹 新(うすい・あらた)が、昼はデパートの倉庫で働きながら、夜は平均年齢が60歳の高齢バー「OLD JACK&ROSE」でホステス「アララ」となり働く姿を描いています。「アララ」が職場で出会った人々との交流を描きながら、いつのまにか生きる糧を得ていく物語です。

 

  第5巻の最終巻では、「アララ」が「OLD JACK&ROSE」の「くじらママ」から、バーの設立者である「シルバ」の日系ブラジル移民に関するエピソードや、当時の日本の女性たちの生活状況を聞きます。
 
 戦中、戦後の日本は荒れていました。昭和20年代、ホステスの中にはヒロポン中毒になったりする者も多く存在しました。そのような状況の中で「くじらママ」は、ある財閥家社長の妾となりますが、やがて、その会社は倒産し世話をかけてくれていたダンナは自殺してしまいます。しかし、その後に「くじらママ」は「シルバ」と出会い再生していくのです。