Book68.多発する歩行者犠牲の交通事故や殺人事件。予期せぬ事態に備える。「平常心を鍛える~自衛隊ストレスコントロール教官が明かす『試練を乗り切るための心の準備』」

 交通事故や殺人事件が増える現在の日本 
 5月13日に内閣府は3月の景気動向指数について「悪化」していると発表しました。「悪化」としたのは6年ぶりとのことですが、この間に景気がよくなっていると感じている人はどれ位いたでしょうか。生活環境は個人差がありますから、発表レベルでは正確な状況は分かりませんね。ただ、経済の状況が個人個人の生活環境に影響を与えることは確かです。
 そういえば天野の住んでいる周辺では、4月に3週連続して殺人事件が発生しました(詳細は省かせていただきます)。
 
 比較的に治安はいい方だといわれ、常に都内で住みたい街の上位にランキングされるエリア近くに住んでいるのですが、殺人事件が連続して発生したのはこの10年間で初めてのことです。というか殺人事件などたぶん、この街では発生していなかったのではないかと思います。
 
 罪のない人が車や刃物で殺害される
 もう一つ、最近に多くなったと感じるのは車の交通事故です。4月に都内・池袋で発生した事故では、母子二人を巻き込みました。突然に妻と子供を失った父親が会見を開き、悲惨な状況と、二度とこんな事故が発生しないよう訴え続けています。
 
 5月には滋賀県・大津市内で事故により軽自動車が歩行中の園児たちの列に突っこみました。2人が死亡し4人が重症を負っています。これらのアクシデントでは事故を起こした当事者が被害を受けるのではなく、全く罪のない歩行者が死亡しているのです。

 他には公園で遊ぶ子供がいる場所に車が直進した事故もありました。日本の交通事故死亡者は減少しているといわれますが、事故被害者に歩行者が多いことが問題になっています。より警察の取り締まり強化が望まれるところです。
 
 自分の住む街で発生した殺人事件のうち一件は、ある店で発生した通り魔殺人未遂事件です。店で買い物をしていても、病院で診察を待っていても、歩行していても、いつ、どこからナイフや車が自分に危害を加えるか分からない状況が増えているのです。
 高齢者による運転事故は特別かも知れませんが、事故や殺人事件の増加は経済状況の悪化が影響していることは言うまでもありません。これから暑くなる夏に向けて、ますます注意しなければいけません。
 
 悲惨な現場で働く自衛隊員のストレスコントロール法
 殺人事件や交通事故には直接的な加害者と被害者の因果関係があることは多々あります。しかし、災害や全く関係のない人が被害を受けることほど、その家族や関係者を苦しませることはありません。ましてや最愛の妻や子供を突然に失ってしまうということほど、辛いことはありません。
 
 「平常心を鍛える~自衛隊ストレスコントロール教官が明かす『試練を乗り切るための心の準備』(講談社+α新書)」は、陸上自衛隊初の心理幹部として自衛隊員たちに多くのカウンセリングを手がけてきた下園壮太さんによる「心鍛える」方法論です。
 辛い出来事にショックを受けても、比較的に早くいつもの自分に戻れる「平常心」を鍛える方法を紹介しています。著書の中で「平常心」はショックを受ける出来事に遭遇しても、いつもの自分に戻れる力を示しています。
 
 東日本大震災の発生から半年後に発売されたもので、戦場や災害派遣の悲惨な現場で働く自衛隊員を支援してきた著者が実践的な心の鍛え方を書いています。
 

 下園さんは、具体的に以下のように書いています。私たちは人生の中でさまざまな試練と闘わなければいけません。試練によりダメージを受けるのは当然ですが、しかし、そこからどう立ち直るかが大切になります。

 まず今の疲労を十分にケアし、今回の試練で心がどのようにダメージを受けていったのかを体験として学習すること。そして本人だけでなく家族も一緒に考えていかなければいけません。
 
 ファーストショックとセカンドショック対処法
 具体的に惨事で経験するショックにはファーストショックとセカンドショックがあります。ファーストショックではパニック、茫然自失、マヒ状態になる可能性があり、初期の混乱状態を抜け出す方法として、①深呼吸(大きな呼吸=腹式呼吸)をする、②「やること」に目を向ける、③助けるべき人を意識する、④環境から安全信号を与える、⑤話す、泣く、抱きしめてもらう・・・ことなどが大切です。
 
 セカンドショックとは、惨事の後で「自分を責める気持ち」、「(惨事に対しての)自分の反応に対する驚き」、「『自分は壊れてしまったのではないか』という自分を信じられない気持ち」のことです。

 このショックに対しては、ファーストショック時に急性ストレス反応(ASR)があることを知ること。停止していた感情や不安、恐怖、悲しみなどが復活し自責の念にかられることから、うつ病に陥る危険が多いといいます。
 そして、さまざまな疲労による怒りの感情も増えてくると指摘し、「仲間と愚痴る」、「怒りを上手に伝える」、「笑う」、「音楽の活用」、「自分の罪悪感を人に話す」・・・などが対処法になります。