BOOK(Manga).61「事故で失明した男がマラソンで再起。勇気と忍耐、そして感動の『ましろ日(6)』」 

   毎日、事故で人が死亡したというニュースがない日はありません。つい先日も87歳の高齢者が車を運転中にアクセルを踏み外し、まだ、人生がこれからの若い女性と子供が死亡するという無残な事故が発生しました。

   これだけ高齢者の自動車運転による死亡事故が増えているにもかかわらず、依然として免許年齢に規制が敷かれないのは不思議なことです。(事故率では80代より20代の方が高いそうですが)

  普通に自転車で走っていても、歩いていても、規則違反の車が飛び込んでくるのです。まさに殺人行為としか言いようがありません。
 
 奇跡的に助かっても半身不随や、歩行困難など大きな身体機能の損失につながれば、その人の人生は終わったとしか言えなくなってしまいかねない。それ程に交通事故は危険なものです。

  事故で昨日まで歩けていた人が車椅子生活になってしまう。これほど絶望的なことはありません。しかし、辛く苦しい状況の中から勇気を出して再起する人が増えています。

   スポーツでは最近はパラリンピックなども大きく注目されるようになり、歩行という身体機能を失って車椅子生活になった人がバスケットで再起したり、手や足が不自由でも水泳で再起したり、片足がなくても幅跳びの選手として頑張ったりする人がいます。

  本当にそのような選手たちを見ると、人間の勇気や可能性について考えさせられてしまいます。
 
 天野もマラソンを走っている時期がありましたが、目の不自由な選手が伴走者と共にレースに参加し、多くの選手を抜きながら前に進んでいく姿を見たことがあります。天野も抜かれた中の一人でしたが、本当に早いことに驚きました。
 
 漫画「ましろ日(6)」(原作・香川まさひと、原画・若狭星、小学館)は、トラックにはねられ失明した自転車で運搬業をしていた山崎と、広島で生きる仲間たちの生活を描いています。

   両目を失明してしまった山崎は、保険金3000万円を受け取りますが、失明したことで全てを失ってしまいます。そんな山崎のもとに安芸信用金庫の加瀬ひかりが現れ、世話をするようになります。

  自分の部屋にいることさえ恐怖を感じていた山崎は、絶望感の中でひかりが訪ねてくることに、少しずつ生きがいのようなものを感じていきます。

   ひかりも小学生の頃に交通事故で両親を失っていました。本当の人の痛みは経験者にしか分からないのです。
 
 やがて、山崎は視覚障碍者として走ることに目覚め、10キロの帆走にひかりを選びます。

   徐々に走ることに力を発揮してきた山崎は、チームを組み本格的にマラソンに取り組み始めるのです。

   事故で身体機能を失った人が、スポーツを通じて再起する。これほどに、その人の生活や人生を変えてしまうスポーツは、本当に大きな力を持っているといえます。

「ましろ日」最新刊の6巻では、レースに挑む山崎には、何と本人をはねたトラック運転手の但馬が伴走者につきます。

   レース途中で山崎は、伴走者が自分をはねた運転手だということに気づき怒りをあらわにします。「あんたが俺の眼を奪ったんだよ」
 
 レースは途中で終わるものと思われましたが、必死で「ごめんなさい」と謝る但馬を山崎は許し再び「一緒に走ってほしい」と伴奏を頼むのです。

   そしてレースは1位と接戦の末、3時間5秒の2位でゴールします。

   やがて、そんな山崎にパラリンピック参加の誘いがくるのです。障害を通して人間の無限の可能性とは何か、人と人の信頼とは何かが、広島で暮らす山崎と仲間の、それぞれの生き方を通して描かれています。

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