Book&Anime75.「ジブリの名作はこうして生まれた 鈴木敏夫 『天才の思考 高畑勲と宮崎駿』とコミック最新刊『崖の上のポニョ』」

宮崎駿監督作品は日本映画歴代興行収入で5作品がランクイン
 

 日本映画歴代興行収入ランキング(ウイキペディア)では、現在1位は2001年公開の「千と千尋の神隠し」(宮崎駿監督)で308憶円、2位が2016年公開の「君の名は。」(新海誠監督)で250.3憶円、3位は「ハウルの動く城」(宮崎駿監督)で196憶円、4位が1997年公開の「もののけ姫」(宮崎駿監督)、5位「踊る大捜査線 THE MOVIE2レインボーブリッジを封鎖せよ!」(本広克行監督)となっています。
 
 昨年11月に日本で公開され話題となった洋画「ボヘミアン・ラプソデイー」が113.4憶円ですから、1位の「千と千尋の神隠し」がいかに凄い映画であるかが分かると思います。もちろん収益だけでなく、「アカデミー賞長編アニメ賞」「ベルリン国際映画祭金熊賞」を受賞するなど海外でも高い評価を受けました。
 宮崎駿監督の作品では、ほか作品も10位までに「崖の上のポニョ」「風立ちぬ」など含め5作品がランクインしています

ジブリ20作品の創作秘話を公開

 さて、一度は引退宣言しながら復活し、ますます今後の活躍が注目される宮崎監督ですが、そんな監督の作品がどのような状況から生まれたのか、創作秘話や裏話などについて書かれたのが「天才の思考 高畑勲と宮崎駿」(鈴木敏夫著、文春新書)です。

 
 高畑勲監督は宮崎監督とともにスタジオジブリを設立し、映画「火垂るの墓」「ホーホケキョ となりの山田くん」「かぐや姫の物語」などを監督しました。著者の鈴木敏夫さんは現在、スタジオジブリ代表取締役プロデュサーで1989年から、アニメ雑誌の編集者としてスタジオジブリの仕事に関わってきました。
 

「千と千尋の神隠し」は宮崎監督の知り合いの娘さんがヒントになった

 著書では「風の谷のナウシカ」「天城のラピュタ」「となりのトトロ」「火垂るの墓」「魔女の宅急便」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」「崖の上のポニョ」など、ジブリ20作品について創作秘話や公開までの苦労話、エピソードなどが各作品ごとに、こと細かく書かれています。本を読むと今一度、同じ名作アニメを見る時の見方が変わります。
 
 大ヒットとなった「千と千尋の神隠し」については、この映画がテレビ会社のジブリ担当者の娘さんをヒントに生まれたことが暴露されています。

   夏になると監督の山小屋に遊びにきていた娘さんと仲良くなった宮崎監督は、娘さんのために未来に進むべき映画を作らなければいけないと考えたのです。

 このようにジブリ作品は意外と身近なところから生まれることが多いらしいです。ほかにNHKの番組「ふるさとの伝承」や、「江戸東京たてもの園」がヒントになって名作は生まれました。やはり、いかに宮崎監督の発想が常人の域を超え優れているかが分かります。
 

シネマ・コミック最新刊は、鞆の浦で原案が生まれた「崖の上のポニョ」

 スタジオジブリ作品は現在、DVDやテレビ放送、動画のほかシネマ・コミックとしても「魔女の宅急便」「千と千尋の神隠し」「もののけ姫」など数多くの作品が発売されています。最新刊は「崖の上のポニョ」(原作・脚本・監督 宮崎駿、文藝春秋)です。オールカラーで本体価格1600円と文庫にしては安くはありませんが、450ページでオールカラーの漫画は、映画やテレビとは違った雰囲気で、より宮崎作品を楽しむことができます。

 
 「崖の上のポニョ」ではクラゲに乗って家出をしたさかなの女の子であるポニョが、自分を救ってくれた人間の宗介に恋をし、さまざまな障害を乗り越え人間界に戻ろうとします。

   ポニョと宗介のほか二人の家族や女神とのコミュニケーションも描かれ、読後がさわやかで魅力的な宮崎ワールドです。
 
 この作品は「ハウルの動く城」を作り終え、疲労困憊していた宮崎監督を見て、鈴木さんがピースウィンズ・ジャパンの知り合いから誘われた瀬戸内海の鞆の浦を、社員旅行に選んだのがきっかけとなりました。

   旅行の翌年の春から2か月間、宮崎監督は鞆の浦に住みましたが、ここで「崖の上のポニョ」の原案が生まれたのです。
 

2022年に新作の冒険ファンタジー「君たちはどう生きるか」が完成

 2013年の「風立ちぬ」を最後に引退宣言した宮崎監督ですが復活し現在、2022年に冒険活劇ファンタジー「君たちはどう生きるか」を完成させる予定で制作を進めています。今年には絵コンテが完成するそうですから、公開が楽しみです。

著者関連本