Book&Picturebook81.「ヨシタケシンスケ流こころの処方箋『ころべばいいのに』 嫌なことや嫌いな人への対処法を描く絵本」

子供にも大人にも生きる勇気や大切なことを伝える絵本

 絵本には現実の生活の中で大切なことや、現実だけの世界だけでなく、一見、空想と思われるような非現実の世界を描き、子供や大人に生きる勇気や気づき、人間にとって本当に大切なことを伝える多くの作品があります。
 
 現在、日本で人気のある絵本作家はヨシタケシンスケさんです。ヨシタケさんは日常生活からヒントを得るものも多いそうですが「おしっこちょっぴりもれたろう」(PHP研究所)は、主人公がおしっこをした後にパンツに少し残してしまう話です。

4年連続MOE絵本屋さん大賞1位を受賞 

 絵本では高齢のおじいさんも、おしっこもれを経験していることが描かれており、誰もが経験する話をコミカルに描いています。この作品は絵本月刊誌「MOA」(白泉社)が主催する「2018年度MOA絵本屋さん大賞」の第1位になりました。ヨシタケさんは同賞の1位に4年連続で輝いています。

 「りんごかもしれない」「それしかないわけないでしょう」など、これまでに描かれた作品は多いですが、「このあと どうしちゃおう」(ブロンズ社)では、おじいちゃんが死んだらどうなるのか天国と地獄の話が描かれています。

 天国では楽しいことが沢山あり、地獄では嫌で辛いことが多いことが分かりやすく描かれています。死後の世界を楽しく知ることで、生きることの大切さを知ることができる本です。この本も第51回新風賞を受賞しています。

新刊はヨシタケ流の心の処方箋

 新刊は「ころべばいいのに」(ブロンズ新社)で、ヨシタケシンスケ流、心の処方箋の発想絵本シリーズ第4弾です。絵本は授業が終わって校門から出てくる小さな女の子が主人公で「わたしには きらいなひとがいる。なんにんか いる。」で始まります。

 
 理由は「どうして あんなこと いうんだろう。じぶんがされたら イヤなことを、どうして ひとに できるんだろう」と自問自答する女の子が、「みんな いしにつまずいて ころばべいいのに」と考えます。そして「きらいなひとは、いつも あたまのなかで こうやって やっつけている。ギューッとちいさくして てにのせて パーン」と叩いてしまうのです。
 
 また、「それか、イヤなことがあって いろいろダメだったひは、ぎゃくに ぜんぜんかんけいない こんなことをするのは どうかしら」と、「くつしたをまるめる」方法や「れいぞうこの ドレッシングをふる」方法なども紹介します。

いつでも自分を励ませるように好きなことや楽しいことを  

 簡潔な言葉でテンポよくページは進み、「きらいなひとや イヤなことは いつやってくるか わからない。だからいつでも すぐに じぶんを はげませるように、すきなものや たのしいことを あつめて じゅんびしとかなきゃ いけないわね。」と続きます。
 「ころべばいいのに」は全32ページで、1ページ構成から見開き構成の絵本で見やすく読みやすく、分かりやすく描かれています。読んでもすぐにもう一度、読みたくなる絵本です。
 
 絵本は漫画よりもストーリーは短く、絵は大きく描かれる作品が多いので非常に読みやすいですね。親が子供に読み聞かせながら、読んでいる親が気づかされるという話はよく聞きますが、社会に出た大人が忘れていることや、忘れかけていることを思い出させてくれるのも絵本です。

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